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運動で高血圧を予防 ~有酸素運動の「強度」が重要(順天堂大学大学院 谷本道哉先任准教授)~

高血圧治療は、運動療法と食事療法による生活習慣の見直しと薬物療法が基本。運動と食事は高血圧の予防でも重要だが、継続が難しい。毎日の生活に取り入れやすい運動と、そのポイントについて順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科(千葉県印西市)の谷本道哉先任准教授に話を聞いた。

◇筋トレはゆっくり丁寧に

運動には血圧を下げる効果があることが分かっており、高血圧予防にも寄与する。

「有酸素運動も筋肉に負荷を加える運動も降圧効果は期待できます。しかし、100キロのベンチプレスを上げるような、いきんで大きな力を発揮する運動は逆に血管が硬くなることがあり、降圧に望ましくありません」と谷本准教授。高血圧の予防には、有酸素運動と自分の体重を使って丁寧に大きく動作する筋力トレーニングを組み合わせる方が、高い効果が得られるという。

効果的な筋力トレーニング(スクワット)のやり方
効果的な筋力トレーニング(スクワット)のやり方

毎日続けられる運動として谷本准教授が勧めるのが、ゆっくり丁寧に行うラジオ体操だ。「特に注意してほしいのは、こわばりやすい背骨や肩甲骨周りの動きです。ここを意識して丁寧に行いましょう。これで快適に動ける体を作ります」

また、自分の体重を使った筋力トレーニングを習慣化することで、ダッシュなどの瞬発力を発揮する際などに使われる「速筋」が鍛えられる。速筋は加齢とともに落ちやすいため、高齢者の筋力維持の運動にも役立つ。

「速筋は、強い負荷がかかったときに使われる筋肉で、持久力運動ではあまり鍛えることができません」。丁寧に大きな動作で、もうできないというところまで反復することで効果が高まるという。

◇有酸素運動を日常に

有酸素運動に代表される持久力運動は「運動の強度を意識してほしい」と谷本准教授。まず見直したいのは1日に何歩歩くかよりも、歩く速さだ。「腕を振ると反作用で足の蹴りが強くなって速く歩けるため、運動の強度が上がります」。そのポイントは両手が使えることで、「かばんを自分好みのリュックサックに変えましょう」。

自宅では、大きく丁寧に行うラジオ体操や自体重(自分の体重)での筋力トレーニング、外出時に速く歩くことを意識するだけでも、高血圧予防につながり、速筋が鍛えられ体力も付く。「日常生活の中で楽しみながら実践し、運動を継続しましょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

げんせん: medical.jiji.com