大人のてんかんって治るの?
大人のてんかんは治療すれば治るのかどうか、お医者さんに聞いてみました。
大人のてんかんは治療で治るの?
大人の「てんかん」は、適切な治療を受けることで治る可能性があります。
ただし、てんかんの原因・重症度・脳の障害の有無によっては、完治が難しいケースもあります。
てんかんの人には、主に薬を用いて治療を行っていきます。
5年間発作が出なければ、医師の判断に基づいて徐々に薬を減らします。
薬の服用を中断した後も発作が再発しなければ、治ったと判断できます。
「治りやすいてんかん」と「治りにくいてんかん」がある
てんかんには、2種類あります。
- 特発性てんかん → 治りやすい
- 症候性てんかん → 治りにくい
という傾向があります。
「特発性てんかん」とは、検査しても脳の損傷が見つからないケースを指します。
一方「症候性てんかん」は、脳の損傷によって起こるケースを指します。
脳腫瘍・頭部外傷後遺症・脳卒中・アルツハイマー病など病気が、発症のキッカケとなります。
成人になってからのてんかん「セルフチェック」
- 光がチカチカ見える
- 手がピクピク動く
- 一点を凝視して動作が止まって、応答がなくなる
- 全身がけいれんする
- 体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動く(ミオクロニー発作)
- 突然体の力が抜けバタンと倒れる(脱力発作)
- ボーっとする(欠神発作)
※症状は、脳のどの範囲で異常な電気活動(電気発射)が起こるかにより異なります
てんかんは、事故などの危険を伴いやすい症状です。
診断を受けていない人で、症状に心当たりがある場合は、早急に医療機関で受診しましょう。
身近な人にてんかんの発作があらわれたときは
全身けいれんが起きている場合は、まずは安全な場所で寝かせてあげましょう。
また、「体を締め付けているもの」があれば緩めて、呼吸しやすくしましょう。
けいれんが治まったら、顔と体を横に向け、発作後の嘔吐による窒息や誤嚥(ごえん)を防いでください。
発作が起こっても、周囲の人は落ち着いて対応することが大切です。
大人のてんかんは何科に行けばいい?
受診の際は、以下の内容を医師に伝えると、診察がスムーズに進みます。
- 既往症や治療中の病気
- アレルギーの有無
- 家族や親戚で、てんかんを持っている人の有無
- どのような発作がいつ、どこで、何をしているときに起こったか
- 発作のその経過はどうであったか
てんかんの診断方法
てんかんが疑われる場合、
- 血液・尿検査
- 脳波検査
- CT検査
- MRI検査
などを通して、診断を行います。
検査の種類 | 検査内容 |
血液・尿検査 | 「先天性代謝異常」や「脳炎」など、てんかんの原因を見つけるために行います。 |
脳波検査 | 脳の神経細胞の過剰な電気的発射を記録し、てんかんの診断を行います。 てんかんの発作型の判定にも役立ちます。 |
CT検査 | 脳の画像を撮影する検査です。 脳腫瘍・脳卒中など、脳の病気の有無を調べます。 |
MRI検査 | 脳のいろいろな方向の断面を見ることができます。 CT で写らなかった細かい変化を確認します。 |
てんかんの治療法
- 薬物療法
- 外科治療
- 迷走神経刺激療法
薬物療法では十分な効果が得られない場合に、「外科治療」や「迷走神経刺激療法」などが検討されます。
治療法① 薬物療法
抗てんかん薬には、
- 脳の神経細胞の「電気的な興奮」を抑制する
- 興奮が他の神経細胞に伝わらないようにする
といった効果があり、発作の抑制に役立ちます。
抗てんかん薬は、てんかん発作型・性別・年齢などを考慮して選択されます。
1種類の薬で発作を抑制できない場合は、2種類以上の薬を試用することもあります。
治療法② 外科治療
てんかん発作の消失・軽減効果が期待できます。
手術は、薬物治療の効果が弱いときに検討されます。
手術の対象となるのは、発作の始まる部分がはっきりしている「部分てんかん」で、その部分を切除しても障害が残らない人に限ります。
てんかんの外科手術って何をするの?
外科手術には、主に「切除外科」と「遮断外科」2つの方法があります。
「切除外科」とは、てんかん発作の原因である「てんかん原性領域」を切除する手術法のことです。
「遮断外科」とは、脳梁(※)を切り離す手術法のことです。
(※)左右の大脳をつなぎ、情報伝達をはたす「神経線維の束」のこと
治療法③ 迷走神経刺激療法
左の首の迷走神経に電気を流し、てんかん発作を消失・軽減させる治療方法です。
治療の際には、装置を埋め込むために手術が必要になります。
この治療法は、薬物治療の効果が弱いときに検討されます。
「装置を埋め込む手術」の流れ
まず左の首の迷走神経に電極を巻き付けて、リード線を通します。
その後、左胸に「パルスジェネレータ」という刺激発生装置を埋め込みます。
手術は全身麻酔で行い、数時間で終了します。
げんせん: epark.jp