日本の子どもの歩き方は、海外の子と比べわずかに内股であることが、愛知県三河青い鳥医療療育センター(岡崎市)の研究で明らかになった。小学生の歩き方を調べ、子どもの正常な歩き方の「基準値」を国内で初めて作成した同センターの伊藤忠研究員に話を聞いた。
◇歩行パターン明らかに
日本では、厳密な評価に基づく歩き方の指導が行われていない。「正常な歩き方の分析に関する研究で、日本は欧米より30~40年遅れている」
伊藤研究員らは、小学生の歩き方を3次元動作解析装置で調べた。対象は、2018年1月~20年3月に同センターで、歩き方などをチェックする運動器検診を受けた、6~12歳の424人。6~8歳、9~10歳、11~12歳の三つのグループに分け、3次元動作解析装置で歩行パターンを分析し、基準値を年齢別に作成した。
その結果、「歩行中に爪先で地面を蹴るとき、高学年は低学年のように脚の屈伸の動きを大きくしなくても、低学年と同じ速さで歩けることが分かりました」。高学年は、低学年ほど大股で歩いていないことも分かった。
これは、高学年では身長が高くなるため、低学年ほど脚を大きく振り出す必要がないからだという。このような傾向は海外の子どもでは見られない。
◇海外と異なる歩き方
諸外国のデータと比較すると、日本の子どもは「歩行中の股関節の動きが軽く内股気味で、高学年になっても変わりませんでした。海外では、年齢が高くなると外股になっていきます」。これは、正座など日本の生活習慣が関係している可能性もあるという。
歩く姿勢を点数化したところ、6~8歳に比べ、11~12歳で点数が高くなり、成長による変化と見られる。「海外では6~7歳で大人と同じ歩き方に成長するとされますが、日本の子どもは高学年でも成長しています」
基準値ができたことで歩行状態を確認できる上、すり足で歩くことは転びやすい歩行で、かかとから着地して歩くことの大切さを保護者と子どもに理解してもらえるようになったという。「運動器検診では、正しい姿勢で歩くことの大切さを指導、助言しています」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
げんせん: medical.jiji.com