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パーソナリティー障害 ~極端な性格で生きづらく(西ケ原病院 林直樹医師)~

病名の与える印象のせいか、本質的な性格に問題があるかのように誤解されることもあるパーソナリティー障害。その特徴について、西ケ原病院(東京都北区)の林直樹医師は「パーソナリティー(性格)が極端なために、周囲を巻き込む問題を起こしたり、問題に巻き込まれたりします。その性格が持続して、多様な社会適応の困難や主観的苦痛を生じます」と説明する。

◇大半が他の精神疾患も

具体的には、自分の中にある「秩序」に固執して周囲の人々に対してもそれを当てはめようとして嫌われる、ささいなことにこだわり過ぎて物事をスムーズに進められない、怒り出すと本人も周囲も止められなくなる、思い付きで行動して失敗する―などの問題を抱える。誰でも多少は身に覚えがあるような失敗ばかりだが、本人や周囲の人たちが苦しんだり、困ったりするのが特徴だ。

「潜在的に似たような特性を持っている人たちは世の中にたくさんいますが、パーソナリティー障害は同じ失敗のパターンを繰り返します。それが原因で、うつ病やアルコール依存、引きこもりといった別の問題に発展することがしばしばあります」

実際、他の精神疾患を合併する比率が高く、医療機関を受診するケースではほぼ全員がうつ病や依存症などの診断も受けるという。「パーソナリティー障害だけに悩んでいる患者さんはほとんどいません」

◇人生経験が改善に導く

発症の原因は、生まれつきの性格や、幼少期の体験との関連が指摘されるが、詳細は分かっていない。「発症の時期は人によって違いますが、パーソナリティー障害の特徴が出そろうのは思春期から青年期だと言われています。そのままひどくならずに一生を終える人もいます」

治療は併存する精神疾患に焦点を当てることで、パーソナリティー障害を含む全般的な改善を目指す方法が一般的だ。薬物療法も併用するが、主に心理療法が用いられる。治療者と共に悩み事を話し合う指示的精神療法や、物事を捉えるときに起きる自動思考の癖を見直す認知療法など、さまざまな方法で時間をかけて治療する。

周囲の人は過剰に反応せず、注意すべきことは伝え、調子が悪いときはいたわり、普段通りに接することが大切だ。

症状のある人に対して、林医師は「問題が生じるパターンから抜け出すことは、癖を治すことと似ています。人生経験を積み、学びを得ることで、個性とうまく付き合えるようになれば、症状は自然に軽快していくことも確認されています」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

げんせん: medical.jiji.com