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軽く見えても実は悪性 乳児期の点頭てんかん

点頭てんかんとは、主に生後3~11カ月の乳児期に起こる悪性のてんかんで、頭を一瞬、前方に垂らすような動作を繰り返すのが特徴だ。「発作後に遊びだすこともあるほどで、発作自体に重篤感はありません。しかし、放置すると精神、運動両面で重度の発達の遅れを伴います」と東京女子医科大学病院(東京都新宿区)小児科の小国弘量教授は警鐘を鳴らす

◇発作後に発達が退行

頭を垂らす「点頭」はごく普通の動作だが、点頭てんかん発作の場合は、主に寝起きのタイミングで5秒から10秒置きに10回以上点頭を繰り返し、長いときは発作が10分以上続く。横になっている場合は、両手をピクッと左右対称に開く動きを繰り返す。こうした繰り返しをシリーズ形成と言い、最初は1日に1シリーズだったものが3シリーズ、5シリーズと増えていくという。

発作の様子から日本では「点頭てんかん」という病名で知られているが、発見した医師の名前にちなんで「ウエスト症候群」とも呼ばれている。「首が据わり、喃語(なんご)も出てくる時期ですが、発作後2週間~1カ月くらいで笑わなくなったり首がぐらぐらしたりなど、それまでにできていたことができなくなる、発達の退行が表れます」と小国教授は説明する。

◇早期の診断・治療を

点頭てんかんは、脳の形成異常や、新生児期の仮死や脳出血などによる脳障害が原因で起きる症候性と、原因がはっきりしていない潜因性に分けられ、症候性が全体の約8割を占める。症候性の場合は、発作が起きる前から発達の遅れが見られることが多いが、潜因性の場合は、それまで正常に発達してきたにもかかわらず、発作を機に発達が急速に停滞、退行するという。

治療が遅れると、たとえ発作は治まっても点頭てんかんによって生じた発達の遅れが戻らないこともあるという。「できれば最初の発作から1カ月以内に治療開始を」と小国教授は早期の診断、治療の必要性を強調する。

発作以外に目で確認できる症状がない上、発作の様子を言葉で伝えることはなかなか難しい。そのため、最近はスマートフォンなどで動画を撮影し、受診の際に医師に提示する保護者も多いという。顔色が良く、いつもと変わった様子がなくても、点頭など特定の動きを持続して繰り返す場合は、小児科医を速やかに受診したい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

げんせん: medical.jiji.com