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ホルモンが影響する高血圧―原発性アルドステロン症 ~正常値でも油断は禁物(西川クリニック 西川哲男院長)~

副腎からアルドステロンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌する原発性アルドステロン症になると多くは高血圧になる。西川クリニック(横浜市)の西川哲男院長は「降圧薬が効きにくい高血圧や、高血圧以外の生活習慣病の陰に、この病気が隠れているかもしれません」と注意を促す。

「高血圧の家族がいる、多飲多尿、イライラすることが多い」。こんな人は血液検査の検討を

▽脳卒中リスク4倍に

アルドステロンは、腎臓の尿細管でナトリウムや水分を再吸収し、血圧を調整している。副腎の過剰な働き(過形成)や腫瘍があると、アルドステロンが過剰につくられ高血圧になるが、なぜ過形成や腫瘍が生じるのかは不明だ。

西川院長は「3種類以上の降圧薬でも収縮期血圧が目標値まで下がらない治療抵抗性高血圧症の4人中1人に、この病気が潜んでいると言われています」と話す。

過剰なアルドステロンでナトリウムが蓄積されると、体内の水分量が増加し、増えた体液を循環させるため心臓に大きな負担がかかる。その結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳卒中、腎機能の低下が起こる。原発性アルドステロン症による高血圧があると、特定の原因がない高血圧に比べ、脳卒中のリスクが約4倍にも跳ね上がるという。

▽片側のみなら切除術

診断は血液検査でアルドステロン濃度などを調べる。コンピューター断層撮影(CT)の検査で目視できる腫瘍の有無も診る。さらに、太ももの付け根からカテーテルを入れ、副腎静脈から直接血液を採取する副腎静脈サンプリングや、より高精度のサンプリングで、アルドステロンが過剰につくられている場所を突き止める。

病変が片側のみであれば、手術で副腎の切除、もしくは部分切除を行う。腹腔(ふくくう)鏡手術なので、体への負担は少ない。現在は、病変部を高周波で焼く治療法も保険適用となった。両側の場合は、副腎不全を起こすリスクが高いため、抗アルドステロン薬と降圧薬での治療が大半で、減塩も行う。

 厄介なのは、必ずしも高血圧になるとは限らないこと。西川院長は「症状やリスクがない人の約6%に、原発性アルドステロン症が見つかったという報告があります。高血圧の家族歴があり、多飲多尿、イライラすることが多い人は、医師と相談して一度血液検査をするといいでしょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

げんせん: medical.jiji.com