医師と直接対面せずに、パソコンやスマートフォン、タブレットなどでリアルタイムに診療を受けられる「オンライン診療」。コロナ禍で注目を浴びている診療方法だが、今年4月からは新たな診療報酬が適用されている。オンライン診療の最新事情について、中野島糖尿病クリニック(川崎市)の渡部ちづる医師に聞いた。
オンライン診療
◇対面診療なしに治療完結も
まず大きく変わった点は、これまで初診時は対面診療が原則だったが、かかりつけ医であれば初診からオンラインで可能になったこと。かかりつけ医でなくても、オンラインでの「診療前相談」を行って、適していると判断されれば受診できる。診療前の相談では、主な症状、基礎疾患やアレルギーの有無など情報を十分に伝えることが重要だ。
「オンライン診療の対象になれば、一度も対面せずに治療を完結するケースもあります」。ただし、重症化リスクのある感染症、もしくは強い腹痛や吐き気、激しいせき、高熱などの緊急性が高い症状がある場合は、初診でのオンライン診療は認められない。検査や診察が必要と判断された場合も対象外だ。
◇各医療機関に確認を
オンライン診療での薬の処方には制限があり、麻薬や向精神薬をはじめ、基礎疾患などの情報が把握できない場合は、一部の薬の処方ができない。
受診する医療機関については、これまでの「約30分以内に対面診療できる医療機関」などの要件が撤廃され、遠方でも受診が可能になった。保険診療で、オンライン診療に関する施設基準を満たすものとして届け出を行った医療機関の場合、初診料は自己負担3割で753円となる。通信料は患者負担になることが多い。
受診の際に指定のオンライン診療アプリが必要となる医療機関もあるので、ホームページなどで事前に確認するとよい。
まだ課題の多いオンライン診療だが、「通院にかかる時間の負担を減らすだけではなく、今まで専門的医療を受けにくかった地域に住む人への今後の普及も期待されます」と渡部医師は話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
げんせん: medical.jiji.com